週末起業コラム

腕があるだけでは、売上に結びつかない
長谷部ナオキチ(はせべ なおきち)氏(その4)

「起業家登場!」現役起業家への突撃インタビュー


起業家として活躍する先輩達へインタビューを敢行!
彼(女)らのロールモデルから学びを深めてください。(〇聞き手 ●起業家)

前回のあらまし


"ビジネスで武器になる写真"というテーマに特化したフォトグラファーとしてご活躍されている長谷部ナオキチさん。

当初は「撮影なら何でも」というスタンスで仕事をしていましたが名刺やプロフィール写真の撮影などに絞ったほうが撮影の仕事がくるようになりました。

長谷部ナオキチ(はせべ なおきち)氏(その4) キメ☆フォト フォトグラファー


■売上に結びつけるには「必然性」を感じてもらう

◯自分で設計した商品を作り上げるまでにご苦労がいろいろあったと思いますが、なかでも最も大変なことは何だったのですか?

●商品の作り方だけでなく、どういうふうにお客様にアプローチをすればいいかとか、どういう見せ方をしたらいいかとかで相当苦労しましたし、また勉強しましたね。

価格も高く設定しましたので、「キレイな写真を撮りますよ」と見本を見せるだけでは「今はいらないから、また今度」で終わってしまいます。「ビジネスのための写真を用意する必要がある」という必然性を感じとってもらえないと売上に結びつかないのです。

◯その必然性というのは、何の必然性ですか?

●私の言う必然性というのは、お客様の悩みを解決できるロジック(構造)が商品をアピールする上で構築されているかどうか、ということです。

たとえば、ビジネス交流会に来る方は、キレイな写真が撮りたいと思っているわけではない。

だから「こんなキレイな写真が撮れますよ」と訴求してもそれが自分に必要だとは思わない。むしろ皆さん自分のサービスを売って売上を上げたいと思っているわけですから。

そのためには写真が必要だという説得力のあるロジックを構築して、正しく伝えることです。

たとえば
「どうして、こういう写真を名刺に入れることが必要なのか?」
「この写真を使うとどういうメリットがあるのか?」
ということをしっかりお伝えするようにしたことで仕事が増えてきました。

◯名刺に写真を入れるサービスは、競合他社も多いなかでどういう風に独自性や差別化を考えていったのでしょうか?

●実をいうと、まったく考えていませんでした(笑)。

でも今から2年前ほど前、キメ☆フォトの展示会を企画し、今まで撮影した方の写真をA3サイズにプリントして80枚ぐらい展示してみたのです。それらを見て下さった方から、どの作品もとてもいい表情だねと褒められました。

確かに客観的に見てみても表情が上手く撮影できている。撮影をするときには、話をしながら、相手のにこやかな表情を引き出していくということを無意識でやっていたのですが、改めて見てみるとこれは自分の強みでセールスポイントになると思いました。

実はリクルート時代で私は企業人2000人ぐらいにインタビューしています。

その中で自然と素晴らしい好印象の表情を引き出すスキルを身につけたということをもっとアピールすべきだと思いました。

(次号へつづく)