週末起業コラム

週末起業、会社を辞めたタイミングは?
綾部貴淑(あやべ きよし)氏(その4)

「起業家登場!」現役起業家への突撃インタビュー


起業家として活躍する先輩達へインタビューを敢行!
彼(女)らのロールモデルから学びを深めてください。(〇聞き手 ●起業家)

前回のあらまし


資格取得を目指すビジネスマン向けの完全スマートフォン対応オンライン資格講座「通勤講座」を開発した、綾部さん。

起業当初は、週末起業であった上、60講座ほどを自分一人で作っていたため時間の確保が最大の課題でした。

そこで、講座の録音場所も兼ねて勤務先近くにマンスリーマンションを借りました。会社帰りや昼休みの時間も無駄にせず時間を自分で捻出するんだという意欲が成功の秘訣でした。

綾部貴淑(あやべ きよし)氏(その4) KIYOラーニング株式会社代表


■週末起業家大賞受賞が、独立のきっかけとなる

○これもよく皆さん悩まれるところなのですが、週末起業が軌道に乗ってきてからどこで会社を辞めるかという決断が難しいんです。綾部さんの場合は、どのタイミングで辞めようと思ったのですか?

●実は週末起業家大賞を受賞したのが2009年1月だったのですが、その出来事が私の中でかなりの後押しになりました。

応募はしてみたものの、事業として軌道に乗るかどうかは不安でしたし、受賞できるなんて思ってもいなかったので。

賞を受賞したことで、起業してもいけるかなと思いました。何とかやってこられたのも、受賞がきっかけですね。

○第三者、外部からのビジネスの評価をもらえたのが心理的にも大きかったということですね。

●そうですね。また現実的にも受賞したタイミングで通勤講座での事業収入がちょうど伸びていたので、このままいけば、これで食べていけるのではないかと思いました。

あとは、切実な話なのですが、このままだと自分の身体が持たないと思いました(笑)。

中小企業診断士の通勤講座は、60講座すべての講座をつくり終えてから開始したわけではなかったんです。ですが講座は始まっているわけですから、制作し終えなければいけません。

毎週コンテンツをアップしていって、それを購入していただくビジネスモデルなので、当然、受講している人には最後まで提供しなければなりません。

しかし、その当時は60講座のうち20講座しかできていない状態で倒れる寸前でした。

残り40本分の制作は、会社勤めしながらだと絶対に終わらないと気づき、購入してくださったお客様に申し訳ないと思いました。

そして何より、一度信用をなくしてしまえば、自分の独立の未来もないなと思いました。そこで、とにかく最後まで完遂しないとダメだと思って辞めたんです。


■スマホの利用の変化がビジネスを後押し

○時間の切り売りにならないように、このビジネスモデルを選ばれたということなのですが、最初はどうしても自分の時間を投資しないと難しかったということですね。

そこから独立なさって、売上もどんどん増えて人材も採用するようになってきたんですか?

●人材を本格的に採用するようになったのはこの1年ぐらいですね。今は8人従業員がいるんですけれども、2012年までは自分ともう一人とで活動する2人体制の時代が長かったですね。

人材をたくさん採用するほどの売上がなかったということもありますし、この事業の成功を私の中で完全に確証できていなかったこともありました。

それが、ここ1年ぐらいで変わってきました。

ここ数年でスマートフォンの使い方が変わってきたことを受けて、講座がスマートフォンに本格対応できたということが一番大きいと思います。

ネットで動画を見るとか、買い物をするとかは当たり前になっていますよね。

しかし、3年ぐらい前を思い返してみると、ちょっと抵抗があった人も結構いると思います。

○確かにメールを見たり、ソーシャルメディアにちょっと書き込んでみたりとか、ショッピングをしたりするのもパソコン限定というのが多かったかもしれませんね。

●スマートフォンの活用がビジネスを大分後押ししてきたかなと思います。その機会を見逃してしまうと、他の人が自分と同じことを必ず行うと思いました。そこで勝負どころかなと思いました。

ここ1年は、スタジオをつくって、機材を入れたり、収録したり、人材を採用したりする投資を進めています。

(次号へつづく)

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