筆跡診断士-高麻彰さん

筆跡診断士-高麻彰さん

「筆跡診断士」筆跡診断を通じて幸せのネットワークを構築

自分の得意なワザを発揮して、人を助けてお金を稼ぐ――。そうした働き方を目指す人が多くなってきました。しかし、自分のワザだけで食べていくためには、さまざまな工夫が必要になります。高麻彰さんは、日本筆跡診断士協会の認定筆跡診断士。派遣社員としてフルタイムで働く傍ら、週末を利用して筆跡診断の仕事を行っています。まずは、筆跡診断士になったきっかけからお伺いしたいと思います。

筆跡診断士に興味を持ったきっかけを教えてください。
会社員として働いているときから、結婚しても、子どもができても、何か一生涯打ち込めるものをやりたいと考えていました。そこで、まず資格を取ろうと思いました。整体師、ファイナンシャルプランナー、カラーセラピストなど、いろいろな資格の話を聞きに行ったり、実際に行動してみたりしたのですが、どれも自分にしっくりくるものはありませんでした。いろんな資格を見ているうちに、出会ったのが筆跡診断士です。

なぜ、筆跡診断士を選んだのですか?
「大」や「子」という文字を書くことでその人の性格がわかるという話を、昔から知ってはいましたが、筆跡診断が具体的にどんなものかは、よくわかりませんでした。2005年に東北大学の川島隆太教授監修の「もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング」が発売されました。そのゲームの小休止で筆跡診断があり、「あ、これは知ってるぞ」ということで診断をしたのですが、何回書いても同じ結果が出るのです。次第にこの不思議さに取り付かれ、気付くとインターネットで筆跡診断について情報収集をしていました。

夢中になって探究しているうちに、筆跡診断は占いではなく、書いた文字に出る癖を読み取り、性格などを判断するというもの、書くという行動の痕跡を診断する科学的なものであること。そして、文字を書く「癖」には、人それぞれに特徴があって、その特徴からどういう人物なのかを知ることができるということがわかりました。

なかでも、筆跡診断のよいところは、自分の癖を客観的に知ることで、自分を客観視することができるということです。適性診断などの科学的な性格診断方法よりも、自分の癖にフォーカスされていることでより自分をリアルに見ることができるのです。そうすることで、本人が気付かなかった可能性や潜在的な能力を知ることもできることもわかりました。とても奥深い学問であることがわかりました。

そこで、資格取得を決意されたんですね?
はい。インターネットで調べているうちに、日本筆跡診断士協会という組織があり、民間資格が取得できることを初めて知ったのです。自分が一生涯掛けて打ち込めるものは、これだと思いました。

筆跡診断士の資格を取得するには、3つの方法があります。通信指導、マンツーマン指導、セミナーです。協会は東京にあり、当時、岡山に住んでいた自分には、マンツーマン指導を受けることは難しいと判断しました。そこでまず、通信教育で資格取得を目指したのです。

それを本格的にビジネスとして意識し始めたのはいつ頃ですか?
2007年です。結婚後、東京に住むようになってから、一度、協会のほうに顔を出す機会があり、そのときにマンツーマンで指導を受けることができました。そこで改めて、プロとして、筆跡診断士で食べていこうと決意し、プロとして活動ができる資格を取得を目指しました。

プロの筆跡診断士になるためには、初級、中級、上級の各講座を学び、各段階の資格試験、修了試験を受けて、最終的に上級修了試験に合格すると、晴れて「筆跡診断士」として活動ができるのです。

資格取得のために2年間一生懸命勉強しました。上級修了試験に合格したのが、2008年です。そこから、いろいろな人の筆跡を半年間診断して、自信がついたところで、独立を考えました。

ツテもないのに自分のお客さんを得るのは難しそうですが、どういう方法で、リピーターを見つけようと思いましたか?
セミナーを開催して、そこから顧客になってくれる人を増やすことを考えました。2008年の12月中には第1回目のセミナーを開催することを考えていたのですが、セミナーってどうやって開催するかわかりませんでした。そこで自分が住んでいる大田区の区役所に筆跡診断士として人材登録をして相談をしたのです。

そこで、さまざまなカルチャースクールが行われている文化センターを紹介されました。文化センターのスタッフに話を聞きながら、筆跡診断の1日体験講座を開催。集客は自分で作った200枚のチラシを文化センターに置いてもらいました。しかし、予約をしてくれたのは10 名で、実際に体験講座に来てくれたのは、たったの5名しかいませんでした。講座料500円の体験講座だったので、これではビジネスにならない。改めて集客の難しさを実感しました。

そして、どのような対策を考えたのですか?
まず、自分と成功している筆跡診断士の方といったい何が違うのかを紙やノートに書き出していくことにしました。私は迷った時は問題点を紙やノートに書き出しています。こうすると問題点が浮き彫りになってくるからです。自分の弱点を書き出していくうちに、自分には人脈が足りないということが見えてきました。

セミナー集客に成功するには、まず、リアルなネットワーク構築が必要だと考えたのです。ネットワークができれば、そこから集客する突破口が見えるかもしれない。そういう考えで異業種交流会に積極的に参加することにしました。そこで知り合った方のご縁で、その方が主催するパーティやイベントでミニセミナーを行ったり、ゲストセミナーを行うことができました。

人脈を増やす一方で、フリーマーケットに参加して簡易筆跡診断を行ったり、文化センターでの自主開催の体験講座などを行ったりしました。最終的に2009年は月1回ぐらいのペースでセミナーを行うことに成功し、セミナーの開催のノウハウや集客の仕方を学ぶことができました。

さまざまな交流会に参加しているうちに、週末起業フォーラムの協同起業支援サークル「OICHI」との出会いがあったと聞きました。
ええ。人脈を増やそうと行動しているうちに出会ったのが「OICHI」サークルでした。2009年12月だったと思います。「OICHI」では協同起業を支援しているので、筆跡診断士としての活動がさらに広がりましたね。

たとえば、「OICHI」発のプロジェクトでサラリーマンの通勤時間を天国にする「通勤天国」という携帯電話用の情報サイトがあります。その情報サイトのコンテンツで「気まぐれ筆跡診断」のコーナーを担当しており、現在、寄稿しています。内容は古今東西の有名人の署名(サイン)に限定して筆跡診断をしていくというものですが、とても好評をいただいています。

もうひとつは、「OICHI」サークルの一人であるダイエットコーチの小林一行さんと知り合いになり、2010年の8 月から毎月行っている『知っトク会』という合同セミナーを開催しています。ダイエットで自分のカラダとココロをスリムにして、筆跡診断で自分でも気がつかなかった自分を発見できるという「1回で2度美味しい」セミナーという内容です。セミナーだけでなく歓談タイムや交流タイムもたっぷり取っており、おかげさまで大好評。2011年も継続して行うことが決まりました。

現在は、正社員を辞めて、派遣で働いていると聞きました。筆跡診断士と二足のわらじですが、どうやって筆跡診断士の時間を捻出しているのですか?
日中は、フルタイムで働いており、帰宅したら家事もあります。1日で使える時間は22 時~ 24 時の2時間ぐらいです。その時間は、次回のセミナーの資料を作ったり、筆跡診断士協会から送られてくる課題をこなしたりしています。

後は筆跡診断士としての能力を向上させるために、何かしら文字に触れるトレーニングを行っています。会社で仲良くなった人の文字を診断したり、電車のなかの中づり広告などで、有名人の署名(サイン)を診断したり、テレビのクイズ番組でタレントの回答ボードに書かれる文字を診断したりしていますね。

今後の目標を教えてください。
200人の前で講演会をしたいと思っています。普通の講演会は、講師が一方的に話す、一方通行型のセミナーが多いと思います。自分がやりたいものは、講師と参加者がお互いに意見のやり取りが行える、双方向性(ワーク)を取り入れたものです。参加者に楽しんでもらうのは勿論ですが、「この人の話が聞きたい!」と思ってくれるような、そんなセミナーを開催していきたいと思っています。