夢工房はづみん(週末発明家)-波積えつ子さん

夢工房はづみん(週末発明家)-波積えつ子さん

週末「発明家」として多方面で活躍!

「このままでは、いけない」――。家事や仕事で一日が終わる主婦から一念発起して、週末発明家へと華麗な変身を遂げた波積えつ子さん。持ち前の行動力とチャレンジ精神で、自らのアイデアを商品化。見事、発明家の登竜門ともいえる発明協会でもその発明の才能は評価され、最近ではテレビの取材を受けるなど多方面で活躍されています。

週末起業家成功事例

発明で週末起業なんて、ユニークですね。きっかけは何だったのですか?
とにかく何かやろうと考えたのが今から6年前の2000年。子育てもひと段落して、自分の人生と向き合ったときに、果たしてこのままでよいのだろうかと考えたのです。ほぼ10年で夫が定年退職になります。彼は自分の好きな仕事を一生懸命やってきたから満足かもしれない。ですが、彼が定年を迎えたときに自分は人生にどんな意味を見出すのだろうと考えてしまったんです(笑)。自分が満足できる何かをやらなくてはいけないと思ってしまったんですね。

発明を選んだ理由は、昔から不便なものを工夫して便利な状態にするのが得意というか、チャレンジ精神がものすごく旺盛なんです。皆が困っていること、自分が不便だなと思っていることを解消しているうちに、発明にハマってしまいました(笑)。

発明ビギナーが誰でも通る道だそうですが、ことあるごとに、アイデアを次から次へと出していました。そして、自分が考えたアイデアや発明を独占できるという特許権を得るために、自分で必要書類を揃えて、特許申請をたくさん行っていたのです。当時は、特許出願することで満足してしまっていたということもありますね(笑)。

発明家として本格的に世に出した発明品はなんですか?
せっかくアイデアを出しているんだから、世の中で認められたいと思って、満を持して世に出したのが「レジ前スマート」というスライド式のカードケースです。アイデアは、ホリエモンがまだ全盛期だった2004年に浮かびました。あるマスコミの取材で彼が、自分は、いわゆるお財布は持たない。これが私のお財布だといって出した輪ゴムで留めたカードの束が発明のヒントになったのです。

最近はポイントカードを発行しているお店が本当に多くて、私のお財布の中もカードで膨れ上がっている状態です。しかも、いざお会計というときになると、数十枚のカードをおもむろに取り出し、まるでトランプカードをシャッフルするように、その店舗のカードを探し出さなくてはいけない......。そんなもどかしさが、私のアイデアで解消できるような気がしたのです。

そこで考えたのが、スライド式のケースをお財布につけるアイデアですね。
ええ。カードをいちいち探さなきゃいけなくなるのは、カードに対してポケットの数が少なすぎるからなんです。だからお財布にカード専用のポケットを増やす方法があれば、問題は解決するなと。そこで、扇形に開く、お財布専用のスライド式のケースをイメージしたのです。

でも、そのアイデアをどうやって商品化したのでしょうか?
実はシロウトが発明品を商品化するには、いろいろな方法があるんです。アイデア商品を企画開発している企業に持ち込んだり、お金を払って発明コンサルタントに発明品の企画を出すのを手伝ってもらったり、異業種交流会でアイデアを商品化してくれるメーカーを探したり......。

私もアイデアを持ち込んだのですが、採用されませんでした。世の中に出ていないものを作るわけですから企業も二の足を踏みやすいんですね。そこで持ち前のチャレンジ精神を活かして、自分で商品化してしまえばいいんじゃないかと気づいたのです(笑)。

しかし、簡単に商品化ができるものではないですよね。どうやってその問題を解決したんですか?
まず、製作予算を決めることにしました。毎月貯金して1年間貯めた40万円があったんですが、それを切り崩して、製作費用に充てることにしました。注文の時点でこの金額を超えるようなら止めようと思ったんです。

次にアイデアを実現化してくれる専門家を探しました。大田区には、産業振興協会というのがあって、個人や会社からの注文を工場や製作会社に斡旋してくれる受発注相談業務という仕組みがあります。これを利用したり、そこからまた、人づてで工場を紹介してもらったり、タウンページで大田区の町工場を1件、1件当たってみたりもしました(笑)。

数十件当たったところ、ケースを作ってもらえる工場にやっと出会えました。個人で、しかも主婦からの注文ということで驚かれているようでしたが、材料の選定からいろいろアドバイスを頂きました。

素材の選定で悩んだのですが、特に柔軟で割れにくく、中に入れたカードの色が色移りしない「ポリプロピレン」といった専門的な素材の提案もしてもらったりしましたね。図面の作成も、こちらが描いたイメージ画みたいなものから精密な図面を起こしてもらえたりもしました。

ただ、製品の組み立てまでお願いすると、予算をオーバーしてしまうので、組み立ては自分でやることにしました。「レジ前スマート」はスライド式カードケースで、扇形に開いて、必要なカードをすぐに取り出せるのがポイントです。組み立ては当初、市販の機材で作っていたのですが、なかなかキレイに扇を開くようにスライドをしないのです。ですので、業務用の機材を購入したりしました。機材購入などで多少の出費はありましたが、やっと試作品第一号が2005 年の3月にできました。

完成してからは、どのようなルートで商品を販売したのでしょうか?
発明品の販売ルートを持っているわけではないので、とにかく知名度を高めることから始めました。地方紙に広告を掲載したり、自分の勤めている職場に置いてもらったり、都内のレンタルショーケースで作品を販売したり。知人のウケは非常に高く、便利だとの評価もいただけるようになったのですが、ただ思うように知名度は上がりませんでしたね。地方紙に広告を出稿したときも、プレゼント企画まで行ったのですが、応募者数はゼロでした。発明品の販売を行うことの難しさを痛感しました。

そこで週末起業フォーラムに入会することで、レジ前スマートの知名度を上げようと考えたのでしょうか?
それもあります。販路の問題については、以前から発明コンサルタントの人にご指摘を受けていたことがありました。しかし、主婦という時間的、経済的制約上、生活のほとんどを商品の販路拡大に費やすことはできません。そこで、時間的、経済的制約上、同じ悩みを抱えている週末起業家の方がどのようにその問題を解決知りたかったのです。

実際に、週末起業フォーラムは波積さんのビジネスに役に立ちましたか?
非常に役に立っていると思います。特に知名度の拡大の点です。マスコミに露出するには、マスコミと知り合いである人と仲良くなることがポイントだと思います。たとえば、私の場合は、代表である藤井先生に週末起業の内容をよく覚えてもらっていて、2006年5月19日放映の日本テレビの『今日の出来事』の週末起業家の特集で、レジ前スマートを宣伝することができました。

全国ネットで放映されたために、翌日には60件の注文があり、発送作業に追われた記憶があります。もちろん、それだけではありません。週末起業フォーラムの交流会やゼミナールなどに参加して人脈が増えたために、販路も少しずつですが拡大してきています。

開業資金はどのくらいでしたか?
「レジ前スマート」は、カードケース作製で約30万円前後。その他の材料費で約10万円。合計約40万円ぐらいです。

週末起業で頑張っていらっしゃる人に一言
フォーラムに入会することで、藤井代表を初めとしてマスコミ関係に強い人脈が出来たように思います。おかげで自分の商品をPRできる機会も増えました。週末起業家でご自身のビジネスの知名度を上げたいとお考えであれば、積極的に行動することが大切だと思います。