エレメント(民間駐車場マッチングサイト )-近藤勉さん

エレメント(民間駐車場マッチングサイト )-近藤勉さん

空港周辺民間駐車場情報のポータルサイトを立ち上げた代理店マン

空港周辺にある民間駐車場情報を集めたサイト「Parking Site」。立ち上げたのは、広告代理店に勤める近藤勉さんです。IT化の進んでいない駐車場業界では、予約を旅行会社の斡旋に頼るしかありません。一方、利用者も駐車場情報の不足は頭の痛い問題です。両者の「不便」を解決するには「マッチングサイト」が一番、と考えた近藤さん。2001年にスタートしてから、売り上げは順調に伸び、今や繁忙期には月商80万円を超えるビジネスにまで成長しているそう。そんな近藤さんの週末起業ノウハウを伺ってみました。

まず業務内容についてお聞かせください
空港周辺の民間駐車場サイトを運営しています。空港周辺には、空港が経営する併設駐車場以外にも、格安の民間駐車場がたくさんあります。これらをPRし、予約斡旋につなげるのがサイトのおもな目的です。

このほか、駐車場の広告掲載、HP制作、などトータルなウエブ関連の支援もおこないます。

どうしてこのビジネスを考えついたのですか?
駐車場業界はIT化が進んでおらず、HPも持っていない会社が多いんです。したがって、予約は旅行会社の斡旋が頼みの綱という会社が少なくありません。

それはとりもなおさず、利用者側の駐車場情報も不足している、ということ。宿泊やツアーの情報サイトはたくさん揃っているのですから、駐車場のサイトがあってもいいはずです。そんなことから、両者のニーズを汲み取るマッチングサイトは必要不可欠と考えました。

収益はどのようにして上げているのですか?
駐車場会社から予約斡旋の成果報酬を得ています。料金は1台につき、平均15パーセント程度。このほか、バナー広告を掲載している顧客からの広告収入もあります。売り上げは好調ですよ。各駐車場の月間平均斡旋台数は約200台。契約駐車場は30以上ありますので、夏などの繁忙期には月商80万円を超えることも珍しくありません。

競合するサイトはないのですか?
同じようなサイトはあるのですが、立ち上げても長続きしないところが多いようです。おそらくこれは、営業が難しいためではないかと推察します。駐車場会社は個人経営のケースがほとんどなので、電話営業したくても連絡がとりづらいんです。じつは私は、現在の会社に勤めるまで、民間駐車場でアルバイトをしていました。ですから、経営者と連絡を取り合えるタイミングは大体、把握しています。

営業のコツはあるのですか?
まず、先方にリスクが発生しないことを説明します。完全に成果報酬ですので、初期費用は一切かからないことを強調すると、気軽に話に乗ってくださる方が多いですね。大体、本業が営業マンですので、セールストークには自信があります。駐車場経営のちょっとした悩み相談にも乗りますよ。また、継続契約の顧客には利用者からの感想やクレームをフィードバックしたりします。ウエブ上で把握できる市場状況から、予約台数アップのためのアドバイスもおこないます。

困ったことなどはありますか?
たまにですが、「ライバル会社が契約しているなら、ウチは降りる」と契約を断られることがあります。「掲載すれば、確実に予約台数は伸びますよ」と説得してもうまくいかず、結局あきらめましたが。駐車場の数で勝負しているのですから、いたしかたありませんね。
サイトアクセス向上のため、どんなことを心がけていますか?
駐車場情報はもちろんですが、海外旅行に関するあらゆる情報を網羅するようにしています。各空港、税関、航空会社HP、宿泊予約サイトもリンク。このほか天気予報や地図、タクシー情報、海外旅行保険、海外用携帯電話、空港宅配サービスなど。利用者のみなさんに「ここに来れば、いろんなことがいっぺんにわかる」と思っていただけるようなサイトを目指しています。

コスト面や作業時間の問題はありませんか?
初期投資はほぼゼロといってよいでしょう。パソコンやソフトなど、必要なものはもともとすべて揃っていましたから。サイト運営のための時間もあまりかかりません。電話営業をしたり、サポート関連のメールをやりとりする程度です。ですから、家族そっちのけで作業に没頭ということもほとんどなし。ただ、週末など、顧客の会社へ出かけることはあります。

HP制作も受注していますが、こちらは建築士である私の兄が担当しています。じつは、この週末起業は兄との共同作業。私が企画・営業、兄が制作といった具合に、兄弟それぞれ得意分野を受け持つようにしているのです。

今後、どのような事業展開を考えていますか
現在、運営しているのは、全国版パーキングサイトですが、今後は各空港ごとのサイトを別途、立ち上げたいと考えています。そのほうがSEO対策上、有利ですから。

また、契約駐車場会社と提携し、駐車以外の付帯サービスもいろいろ展開してみたいですね。すでに旅行者向けのペット預かりサービスを開始しており、利用者の皆さんからご好評を頂いています。

もうひとつ最近、力を入れているのが、Google AdSenseの掲載です。これは、クリックされた回数に応じて報酬を得られる広告システム。いつでもオンラインで広告収入を確認することができます。先月(2004年3月)のピークは、1日86ドルを記録しました。広告収入は今後、ぜひとも伸ばしていきたいですね。

会社には週末起業をしていることをオープンにしていますか?
現在の会社に入社するとき、「会社の仕事に支障をきたさないようにするから、週末起業を認めてほしい」と願い出ました。ですから、本業でも人一倍がんばるようにしています。もちろん、週末起業が原因でトラブルになったことはありません。

私は一応、一児を抱える家庭人なのですが、収入補填の意味でも、週末起業をやめることはできませんね。ゆくゆくは事業を成長させ、独立するのが夢。そのためにも、もっと勉強し、工夫を重ねてゆくつもりです。週末起業フォーラムの皆さんの知恵をいろいろと学んでみたいですね。